目の病気については、まだまだ研究の余地がありますが、頭蓋骨や身体のゆがみが引き起こす可能性は大いにあり得ると思います。
杖をつき濃いサングラスをかけて私の目の前に現れたその女性は、
30代前半の若くハツラツとした方でした。
知人の紹介で
「骨のゆがみを調整したら、視力回復に希望が出るかもしれないから行ってみて!」
と紹介されていらした方です。
「宜しくお願いします」
と明るく挨拶をする彼女。
しかし、自分の過去についてはあまり語ろうとしませんでした。
過去からの打撲歴や出産時のゆがみついてなどの
経過は貴重な情報なのですが、
気重になる彼女に多くの事は聞かずに、
さっそく頭を含め全身の歪みを見せてもらいました。
小さな時に視力が衰え、高校生になった時、
右目の光りを失い、左目はかろうじて矯正し
0,04の視力が残っていると言います。
全身で彼女のゆがみを見つけて居る最中に、
自分の打撲をハッと思い出します。
「先生、小学校低学年のときに階段から落ちました。それは絶息するほどの痛みで全身を打撲した事があります、これが原因かな?」と。。。
これだ!そう確信しもう一度全身をチェックしていきます。
ありました・・目に影響するであろう
後頭骨3番と頭頂骨のゆがみ、
そして肋骨もあちらこちらの歪みに変形のヵ所があります。
完全に視力を失った右目の回復には、まだ前例がありません。
しかし、左目にはまだ光りを感じており可能性は残されているかもしれないです。
そう正直に伝えるとCさんも、
冷静にトライしてみますとうなずき、二人三脚の施術がスタートしました。
なかなか手応えを捕まえないなか、
二ヶ月目のある日、電話の向こうの彼女から希望がもてる声が聞こえてきます。
「先生、少し光りの量が多く感じるようになってきた気がします、、まだ半信半疑だけれども、なんだか希望が出ています」
「ホントですか!わお、凄いじゃないですか!」
そう話す私と彼女の声は弾み始めました。
手応えが出始めたのです!そんな矢先、
彼女に転機が訪れます。
関西の学校へ資格を取るために入学する事になり、
しばらく骨格調整が中断してしまう結果になりました。
しかし彼女は言います
「先生のお陰で、私は治る可能性が残されている事を確信できました。それだけでも大きな大きな希望です。ありがとうございます、がんばります」
そう話してくれ、握手し杖をつく彼女の最後の背中を見送りました。
彼女には小さな子どもがいます。将来、
彼女の目に我が子が映る日が来るように切に祈り、また逢える日を願っています。